人数制限がかかって来ている?歯科医師国家試験では他人との競争。







2015年12月現在、国家試験を控えた歯科大学の学生達は一生懸命に勉強をしているだろう。

ほんの数年前までは国家試験の合格率にスポットライトが当てられていたが、今は少し状況が変化してきている様に個人的に思える。

そもそも歯科医師国家試験の合格率は10年ほど前までは、大体80%くらいであった。

落ちる方が珍しい…。

ここ数年でみるとその合格率はおよそ60%程にまで下がって来ている。

もちろんこれは国によってしっかりコントロールされている事である。

当然その背景には『10万人を超える歯科医師数の増加』に対する減少策なのであるが、実は最も注目して欲しいのがその合格者数である。

数年程前までは2500人~3000人くらいの合格者数であったのが、

3年前の第106回は2366人(合格率71.2%)
2年前の第107回は2025人(合格率63.3%)
1年前の第108回は2003人(合格率63.8%)

実は10年ほど前から平均3000人/年程であった合格者数を、1000人減らすという噂がまことしやかに囁かれてた。

その頃は皆、口を揃えて「まぁ、いつかそうなるのかな?」なんて現実的な考えを持っているものは少なかったが、実際にそうなった。

さらには、2016年に行われる国家試験ではさらに合格者数を1800~1900人程に絞るのではないかと予想している歯科医師国家試験対策の会社もあるくらいだ。

そうなると以前の様に必須問題80点以上、全体平均60点以上平均取れば合格するというわけではなくなってくる。(そもそも60点は低い気がするが…。)

ある程度の得点を取っていても、順位が低ければ不合格となる訳である。

すなわち、過去にそういった者がいた様にギリギリの得点を取れるレベルでは合格できず、文句無の点数を最低限取る必要が出て来る。

そう、試験問題との勝負だけではなく同級生との勝負になって来ている訳である。

6年間も大学に行って、高い学費を親が払って国家試験に落ちていたら目も当てられない。

お坊ちゃん・お嬢ちゃんにその競争をぶっちぎるハングリーさがあるだろうか?

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歯科医師と患者の気持ちのギャップは『メンタルケア』で。







前回の話において「歯科医師は『人間力」』をつけなければならない」と記述した。

医療の世界においてはそれは患者の心のいたわり、いわゆるホスピタリティの中の『メンタルケア』である。


歯科は医科と大きく違うのは、やはり人間の命に関わる様な処置が少ないという事。

そのため、患者からの評価と言うのはどうしても治療の内容の良し悪しだけではなくなる。

その点においてはある意味医科よりも歯科の方がシビアだ。

例えば、虫歯の治療で小さく歯を削って「コンポジットレジン」と呼ばれる白いプラスチックの詰め物を、丁寧に時間をかけて、パッと見た感じ天然の歯の様に詰めて、患者に鏡で見せても患者の反応は”いまいち”。

こんな事は日常の歯科医師の中でのあるあるらしいが、ここに問題がある!

何故多くの歯科医師が”患者の反応がいまいち”と思うのか?

それは、歯科医師だけが「こんなに一生懸命に素晴らしい事をやってるんだ!」と言う気持ちが強すぎるために、患者の"ごく普通"の反応を見て、ガックリと勝手に来ているだけでなのである。

患者からすれば、口の中の暗い所に銀歯じゃなく白ければあとは大して差はない訳で、咬み合わせが高かったりした方が違和感を感じるだろう。

そう、患者はそもそも白い歯に白いものが詰まっても「不思議」とは思わず、また、咬み合わせが高くなくて当たり前なのである。

むしろ長い時間口を開けてつらい思いをした事に対して、見合っている事なのかどうか?という、総合的な判断でその反応になる事を歯科医師は理解しなければならない。

それもわからず、「僕がこんなに一生懸命詰めたから、きっと患者さんは喜んでくれるだろう。」なんて、心のどこかにそんな気持ちが常にあるから、その反応に対してギャップが生じてしまう。

さも自慢気に鏡を渡して、患者は「はぁ」。

これでは、勝手に歯科医師が「やりたい治療」を押し付けているだけで、患者の求めている事、すなわち医療の本質には繋がっていない。

その様な治療を行っていれば患者からの評価など高まる訳がない。

歯科治療と言うのは時代によって変化するものであり、最高とされる治療も今現在はそう言われているかもしれないが、『10年後には意味のない事だった』なんてことは歯科医療の歴史を振り返ってみても多々あるそうだ。

どこかの高名な先生の言った事を鵜呑みにせず、自分自身で考え患者個々にあった治療を考え提案し、選択してもらう方がよほど良いのではないだろうか。

根の治療もそうだが、「マイクロスコープ」なるもので口の中を覗かれながら、「ラバーダム」と呼ばれるゴムを引っ掛けて長時間口を開けさせられ、何をやっているかは不明。

それでいてそれをやったから、やらないよりも確実に長持ちするかどうかは言い切れない。

こんな事では、患者は不安で来て嫌な思いをしてお金払って帰るだけ…。

いつまでも続く訳がない!

治療の内容云々ではなく、もし本当にその処置が必要でやった方が良いと思うなら、患者に対しては誠心誠意の説明をして、患者自身にその治療に対して「欲しい」と言う購買欲にも似た、『治療欲』を出させるくらい歯科医師が『メンタルケア』をしなければならないのではないだろうか?





開業歯科医師の『敵』それは…。







開業歯科医師には多くの『敵』が存在する。

これも歯科医師が過剰時代のためである。

「歯科医師過剰」これは競争の激化を生んでおり、これは多くの人に周知の事実となっている。

そのため、歯科医師は赤字にならないために模索する。
※利益を上げると言う意味ではなく、あくまで医院運営を最低限の健康的状態を保つための模索である。

人数が多く競争が激しいとなれば、その業種自体が他業種の人間からは『マーケット』と見られている。

その中でもここ数年増加しているのが『歯科医療コンサルティング』である。

歯科医療コンサルタントと言えども様々な業種の人間が流れ込んで来ているようで、

「税理士」
「公認会計士」
「元金融関係(銀行など)」
「元歯科メーカー勤務」
「元大手病院事務長」
「現役歯科医師(開業)」
「現役歯科医師(勤務)」

その他うさんくさい所で

「サラ金出身」
「不動産業出身」
「元ホスト経営」
「元IT関係」
「元宝石商」

などなど、数え始めたらキリがない。

何故こんなに流れ込んでくるのかと言うと、とある歯科医院物件あっせん業の社長がこんな事を言っていた。

「歯医者は経済の事など何もわかっていないのに経営者になってるが、お坊ちゃんでそこそこ金払いも良いから稼げる」

だそうだ。(ひどいもんである)

これら、「歯医者さん達の経営のためですよ~」と近づいてくる多くの者達が口にする言葉、それは『成功』である。

全ての業種にも言える事かも知れないが、『成功』をうたって寄り添ってくるふりをする輩にろくな者はいない。

この歯科医療コンサルを語った者たちのほとんどが歯科医院を経営した経験など一度もない。

また、自分の会社の経営もそこそこで他人に「あーした方が良い、こうした方が良い」ともっともらしい事を言う。

しかし、あまり経営が芳しくない歯科医師は何故かこれにはまってしまう。

現に数多く行われている「歯科医院経営セミナー」などに、多くの歯科医師が一生懸命参加しているのである。

そもそも、人の言った通りにやってうまく行くのであれば皆んなやっているだろう。

もっと言えば、経営がうまく行っている歯科医師はこう言うセミナーにほとんど参加した事が無いというのも事実。

こう言うセミナーもしくは、サイトのメルマガから情報を得ようとしても、『核』となる事を伝えている事はないと知る必要がある。

例えば

「ホームページで集客するのは大切です。そしてそのホームページが閲覧される事が最重要で、それはすなわち上位表示されるためのSEO対策をしましょう!」

これは➡折角ホームページを作っても誰にも見られなかったら意味ないですよ~、だから「〇〇(地名) 歯科」なんて検索した時に1ページ目に来ていないと誰も見ませんよ~。

という事であるが、これは口で言うのは簡単だが実はホームページが上位表示される事が確実に出来れば苦労しない訳で、その上位表示される方法というのは一切紹介されていない。

正確に言うと確実な方法は存在しないため誰にも言えない。

要は当たり前の事を目の前で言われて(文章で見て)、インターネットなどに疎い歯科医師は「ふんふんなるほど」と馬鹿正直に聞いているのである。

さらにこれにお金を払って聞きに行っている、これでは「歯医者はちょろい」なんて思われてもしょうがない。

もっと突っ込んで話せば、「無料の経営セミナー」これは自分の顧問先を増やして月々の顧問料を取るために仕掛けている戦略にすぎない。

また、その類のサイトから送られる「無料メルマガ」もそこに付帯されている広告で収入を得るのが目的で、その内容はもっともらしい事で歯科医師に「得っぽい」事を書いていれば良いだけで、ある意味そこに乗っかっている歯科医師は無料で登録していずれ見なくなっても、その業者の広告収入の手助けをしているお間抜けさんと言っても良い。

そういう歯科医療コンサル風の輩がもう今は手を引いているーなんてことは山ほどあって、この者たちに責任感などと言う感覚は初めから毛頭ない。

開業している歯科医師達はそんな事に時間を割いている暇があったら、もっとソフト面を磨かなくてはならない!

それは、歯科医療技術も大切だがもっと大切なのは『人間力』だ。

人と人との関係性を気付けないものは、どんなに良い治療をしようとも、どんなに最新の機材を使おうとも患者は治らない!

治療の技術や知識に重きを置きつつ、人と人との関係性を気付くことが出来れば「経営セミナー」になんて頼らずとも、自ずと患者からの評価は高まるであろう。




親の歯科医院を継承した場合は吉か凶か!?






歯科医師が開業する際に常に抑えたいのが『ランニングコスト』である。

その中でも最も病院格差が出るのが「テナント代 (家賃)」だろう。

しかし、今回はそのテナント代についてではなく、そのテナント代がかからない…いわゆる親子による継承物件で病院を行う危険性について述べる。

通常病院のテナント代とは20〜30万円かかる所や、立地や条件によっては100万円や200万円月々に支払われている。
しかし、親の跡を継いだ歯科医師はそれが無い。

それだけ聞くと凄い良い!と思いがちであり、周りの歯科医師や開業コンサルタントもその様に言う。

もちろん、テナントに入るための保証金 (敷金) がかからないので初期投資も大幅に抑えられる。

保証金は大体家賃の10か月分か◯◯ヒルズの様な所では定額でかなりの高額のものが多い。

やはり普通に考えたら《有利》である事には変わりは無い。

ただし、まっさらで開業した歯科医師と比べて大きく違う所は、

「立地を選べていない」

と言う所である。

歯科医院もやはりビジネスをしなければいけないため、『立地選び』は重要である。

もともと立地が良いというのであれば問題は無いわけだが、昔の先生達の頃は歯医者不足の時代のため、どこで開業しても患者はたくさん来た時代である。

そのため立地を選ぶなんて事は考えていなかった。

むしろその逆で、人が沢山来過ぎない所を選らんで開業したと言う人もいるくらいだ。

そんな状態の歯科医院を継承すると言うのはとても危ない!

ただし本人に実力があると言うのであれば別だが、
(ここで言う実力は技術だけでなく、人にモテるかどうか、歯科医院を運営して行く細やかさあるかどうか、など総合的な意味がある)
多くの歯科医師は以前の記事にも述べた様に、普通に勉強して育ったものが多い。

要は人間的に爆発的なパワーが無ければ、それ以外のハードに頼らなくてはならないのが現実である。

それは、『立地』であったり、『最新機器』であったり、『オシャレな内・外装』に力を入れる事である。

本来ならば、人対人のため『人間性と技術』があれば申し分ないはず。

実は、立地が悪くても流行っている所はそう言ったソフト面に力があると言うことを多くの人が理解していない。

ただ、悲しいかなそれらソフトの部分は
《生まれながらにして決定している》
誰もが誰も歯医者になったからと言って、人生成功する時代はとっくに終わっている。

正直なところ、そのもともとの素質を持っていないものは、2世歯科医師とは言え開業するに値しないのかもしれない。

ただし、自分がそう言った人間(歯科医師)かどうかがわからない人もいるだろう。

むしろこう言った話をすると、「自分は違う」と感じるものの方が多い。

もし自分を客観的に判断したいのなら、過去の小学校位から高校位までを振り返るといいだろう。

自分が
【クラスの人気者であったか】
【生徒会長などを経験したか】
【部活の長などを経験したか】

本来であれば人の中心に立てない人間が、開業して院長(社長)になるべきではない。

それでも、開業して自分の城を構えたいと言うのであれば、「自分は親の地盤を継ぐから大丈夫」と言う甘えた考えは捨てて、冷静に一から考えて判断して行かなければならないだろう。





開業歯科医は勤務医時代の年収を下回る。







歯科医師は大学卒業後、歯科医院で何年か勤めた後に独立開業をする事が多い。

以前もこの事を疑問に感じて記事にした事があるが、ほとんどの歯科医師は一般の会社員よりは高いお給料をもらっている。

それなのに、そのお給料を捨ててまで人生の賭けになるだろう「独立開業」をすると言う。

聞けば特に経営の知識もなく、他院にはない特殊な治療方法を持っている訳でもない。

会社員が起業して社長になるのは、それなりに知識や能力を持ち、そう言った素質のあるものがなるし、そうで無ければ成功もしないだろう。

こんな不可解な事をしているがために、歯科医師がワーキングプアーなどと揶揄されてしまうのではないか?

今回は勤務歯科医師が開業して、今と同じお給料を得る事がどの位の数字の感覚を持っていなくてはいけないかという事を、給与例を上げて解説したいと思う。

まず歯科医師が個人開業をして得られる収入は、大体売り上げの20%〜30%くらいの間である。

個人開業で経営者という事になるので、当然常に完全歩合という事になる。

例えば、一つの歯科医院に常勤医として勤めている場合、経験年数や、技術力により差はあるが、月のお給料が60万円くらいであるとしよう。
*30万円くらいの人から、200万円くらいの幅はある。

歯医者さんで仮に保険診療の売り上げをメインとした場合、1日8時間の診察時間で1人当たり30分診療で16人みたとすると、保険診療の1人当たりの売り上げは5000円程なので、8万円/日程の売り上げが予想される。

この8万円から、技工代金・材料代(売り上げの約15-20%)を引いて、そこからテナント代、歯科衛生士や歯科助手の給料、ガス・水道・電気・電話代を支払う。

そうすると、
80000-16000(技工・材料20%の場合)-10000(テナント月30万円の場合)-20000(スタッフ2人の場合)-5000(ガス・水道・電気・電話)=29000円/日
となる。

日給29000円と聞けばかなり良いと思うが、週5で月にすると58万円〜64万円くらいになる。

元々の給料とあまり変わらない様に感じるが、実は違う!

給料はただもらうだけだが、開業に際してはほとんどの人が『借金』をするわけだが、その返済が額にもよるが月におよそ15万円〜50万円(多い人は)はかかる。

これが入ると元の給料を大幅に下回って来る。

さらに、コンピューター管理の月々のサポート代が月に3万円〜とか、ホームページの管理代が月に1万円〜とか、そんなに多く見積もらなくとも月に30万円程度の収入になり、年収300万円代の開業医、いわゆるワーキングプア歯科医師が誕生してしまう訳である。

もっと言えば最初の試算で、1日16人の来院数でそれを毎日続けている訳になるが、実はその方が難しい。

どんな歯科医院でも必ずと言って良いほど、「キャンセル」が発生する。

キャンセルの多い少ないは経営に大きく影響して来る要因の一つでもある。

そして、開業医と勤務医の最も違う点と言えば【ストレス】である。

多くの開業医は歯科治療が仕事の100%を占めていない

と言うよりもそうならざるを得ない。

人の管理から、お金の管理、個人経営であれば1人でやらなくてはならない。

それで収入に繋がらなければついついグチになるだろう。

そしてストレスに繋がり、健康的な人生を送ると言う人としての大命題からもそれて行く…。

他にもまだまだ月々に出て行くお金は、増えていく訳だがこうまでして開業する意味が私にはわからない。

今の(普通よりははるかに高い)給料で、勤めている方がよほど安定的で人生が読めるのではないかと思う。





歯科医師の雇われ時代に求められる『働く姿勢』。






歯科医師というのは基本的にはどんなレベルの歯科医師でも最終的には「開業」をする。

医療というものは『営利を追求してはいけない職業』であるとはいえ、開業をするという事はやはりビジネスをするという事である。

この世には、〝給料をもらう人間と支払う人間”に分けられる。

一般的な世の中では給料を支払う立場の人間は特別であり、それなりに目標をもって独立する意識を持ちながら生活している。

そして、必ず雇われていた経験をもとに自分なりの経営の「色」と言うものを出していくのである。

歯科医師も雇われていた時代を経て独立に至る訳だが、一般的な社会における構図とはやや違う部分がある。

それは、雇われている時の又は雇われる前の『姿勢』である。

もうこの様な考えは古いのかもしれないが、通常は会社やお店などに雇ってもらうために面接に行き、雇ってもらえたら自分のためと会社のために一生懸命に働く。

こんな図式は現代では少しずつ薄れつつあるかもしれないが、歯科業界には初めからこんなつつましやかな考えはない。

もちろん、タウンワークやトラバーユの様な一般的な求人広告で募集するような職業ではないので、初めから絶対数が少ないのでそうなってしまう可能性もある。

多くの歯科医師の就職先は知り合いや先輩のつてで探すか、もしくは歯科医師専用求人サイトなどで探す。

その際に歯科医師は〝面接で落ちる”なんてことは考えていない。

どこで働けば自分に最大限メリットがあるのかという事を

『自分の実力の有無』はまるっきり無視で決定する。

歯科医師とって、この雇われている時代の勘違いが大きな落とし穴である。

実際に雇ってもらうための就職活動などもしないまま、普通のサラリーマンよりもそれなりに高い給料をもらう様になり、実際に仕事は問題なく出来るようになれば「いざ開業!」という気持ちになる。

しかし、一般的な雇われる『姿勢』が出来ていないまま開業するわけなので、初めて人を雇う立場になった時に雇われている人の気持ちが全く見えないのである。

さらに一番タチが悪いのが、雇われている側の気持ちが見えていない事を分かっていない、という歯科医師も少なくないであろう。

病院内の雰囲気や空気のコントロールも経営者となった歯科医師の重要な仕事であり、それは自分が雇われている時代から謙虚な気持ちで培っていかなければ、長く続けられる歯科医院経営は難しいであろう。





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