歯科医院の経営の人口ボーダーライン?






およそ30年~40年前は、朝7時から夜11時まで休む間もなく患者の治療を行い、朝から並ぶ患者には整理券を配り、長時間待つ間に昼になるとこれから診察を受ける患者に「パン」を配るなど、今からはとても想像も出来ないほど歯科医院は繁盛していた。

それは、もちろん歯科医師の数が今よりも圧倒的に少ない事が原因であった。

そのため田舎で開業をすると患者が殺到してしまうので、比較的歯科医院が多く患者が平均化しやすい都内で開業する、なんていう優雅な話もあったくらいだ。(私の聞いた話ではその場所は巣鴨)

今から35年前の昭和50年頃には歯科医師は全国で40,000人ほどであった、それが今は2.5倍のおよそ100,000人になっている。

それに伴い歯科医院数も増え全国で約70,000軒になり、日本国民の人口が約1億2000万人ほどだとすると、人口1700人辺りに一軒の歯科医院が存在する事になる。

以前に「一軒辺りの歯科医院が成り立つ為にはおよそ1700人の患者が必要である」と言う事が言われていたが、これはあくまで1700人が歯科医院に均等に来院した場合に何とか成り立つボーダーラインであり、当然それ以上の人口が求められる。

例えば東京では10000軒以上の歯科医院に対して人口は1200万人なので、単純に1軒辺り人口1200人となりボーダーラインをはるかに下回り、有名な話ではあるが本当にコンビニの数よりも多い。

では、歯科医院の多い東京とは違い地方であれば問題無いのかと思われるのだが、地方は東京に比べ圧倒的に人口が少なくまた変動も少ない。

それゆえ新たに1軒歯科医院が出来ただけでも、周りの歯医者さんにとってはかなり心中穏やかでは無い。

どちらにしても今現在の歯科医院数は、人口に対して過剰に増えすぎてしまって数十年前の歯科医院の経営状況とは全く違うものとなり、最近聞いた話では仕事のバリバリ出来る30代の歯科医師で妻も子供もいる開業医でさえ年収300万円代で生活は決して豊かではないと言う。

開業する事を何となく目標としている先生達が多いため、開業するために必要な知識などを開業前から自分であまり学ばず、知人の先生(経済は素人同然)に聞いたり、コンサルタント(基本的には開業斡旋業者であり歯科医院が潰れても関係の無い人達)の言いなりであったり、また必要で無いものや自分のワガママで欲しいものを歯科医院に購入する為に多額の借金をしてしまい、返済が出来なくなり倒産に至る歯科医院も出て来てしまうんですね。






歯科医師になるのと高級マンションが同じ!?






歯科医師になるまでにはおよそ5,000万円ほどかかるのではないかと、前回までの記事で述べてきました。

では、歯科医師の20%である年収300万円の人がそれを取り戻すにはどのくらいかかるのか?

5,000÷300=約17年!!

しかも取り戻すだけ、生活費など一切無視ししてこの年数。

仮に月に15万円が家賃等も含めた生活費だとしたら、年収300万円から180万円引いて、残りの120万円が取り戻せるお金。

それで計算すると
5、000÷120=約41年!?

確かに5,000万円といったら高級マンションを購入できる額ですから、住宅ローン返済と考えたらこの位の期間になりますが、それとは明らかに違いますね。

やはり、歯科医師で年収300万円というのは今までかかって来た、莫大な金額から考えると「ワーキングプア」と呼ばれてしまうのも納得です。

しかし歯医者さんたちの間で「生活が苦しくて苦しくてしょうがない」、なんて声は聞いた事がほとんどありません。

それは歯科医師が社会的職業意義をしっかりと把握しているからなのか、それともたまたま聞いた事がないだけなのか?

次回は、歯科医院の経営状態について考えてみます。





歯科大学の学費を比較【2013年度版】






歯科大学は学費がとても高いと言われて来ましたが、ここ数年の歯科医師人気が落ちた事と、少子化の影響もあり歯科大学が相次いで定員割れするという事態が起き、それに伴い新入生獲得のため各歯科大学が学費を下げて来ています。

しかし、各大学により金額に差がありますので、各大学の差を検討してみましょう。
このデータは2013年度のものになります。

・大学名 ・初年度納入金 ・二年次以降の学費 を示します。
  1. 東京歯科大学   945万 453万
  2. 愛知学院大学   845万 482万
  3. 神奈川歯科大学  850万 385万
  4. 日本大学松戸歯  690万 350万
  5. 日本大学      690万 300万
  6. 岩手医科大学   650万 250万
  7. 大阪歯科大学   639万 380万
  8. 福岡歯科大学   630万 350万
  9. 日本歯科大学新潟573万 380万
  10. 日本歯科大学   573万 380万
  11. 鶴見大学      515万 455万
  12. 昭和大学      459万 300万
  13. 北海道医療大学  414万 380万
  14. 奥羽大学      405万 350万
  15. 朝日大学      353万 190万
  16. 明海大学      351万 190万
  17. 松本歯科大学   298万 268万
  18. 九州歯科大学県外105万  53万
  19. 九州歯科大学県内  81万  53万
  20. ※国公立大学     81万  53万
国公立大学はすべて一律。

北海道大学、東北大学、東京医科歯科大学、新潟大学、大阪大学、岡山大学、広島大学、徳島大学、九州大学、長崎大学、鹿児島大学が歯学部のある国公立大学になります。

初年度納入金では東京歯科大学が最も高く、年間の学費では愛知学院大学が最も高い金額ですね。
反対に国公立の大学のと共に私立大学で最も安いのは、九州歯科大学でした。

こう見ると一番金額の低い大学なら、専門学校よりも下手したら安いですよね。





歯医者になって5,000万円取り戻せるか!?






歯医者さんになるには、とってもお金がかかります。

それは歯科大学に入る前からすでに始まっています。

「塾」や「予備校」に通うからです。

しかもそれらは、医歯薬専門のコースまたは医歯薬のみをターゲットに絞った所のため、通常の予備校と比べてかなり料金が高いのです。

私なりに調査した結果、まず高校在学中に通う場合、およそ月謝が10万円で1年間で120万円、さらに3年間で360万円になります。

そこに夏期講習など年間3回通うと、プラス30万円で3年間で90万円。

高校在学中に予備校にかけるお金は約450万円になります。(もちろん個人的な見解のため、もっと安い料金のところもたくさんあります。)

そして、高校卒業してもし一発で合格しなかったら、浪人生として予備校に通いますが、その料金は1年間およそ250~500万円になります。

と、この時点で一浪して歯科大学に入ったとしても、すでに700~1,000万円近くのお金がかかっています。

さぁそしてここから6年制の歯科大学に入学です。

歯科大学によっても差はありますが、初年度に大学に納める学費が約1,000万円、2年目からは年間約500万円の学費がかかります。

6年間で約3,000万円の学費がかかるんですね~。

また、この他にも実習するための機材費や教材となる医学書なども買わなければなりませんから、年間50万円~100万円くらい上乗せでしょうか?(歯科に使用される材料や機材は異常に高額。もちろん医学書は通常書籍よりも高い。)

さらに、地元に歯科大学がない学生は親が家賃や生活費を仕送りしなくてはなりません。

結果、歯医者さんになるにはざっと5,000万円くらいのお金が必要になりそうだ!

ただし学費については各大学ごとかなり差があり、先ほど述べた額の半分くらいのところもあれば、国立大学なんかになると10分の1くらいの金額になったりもします。

大学によってどの位の差があるのでしょうか?
次回は各歯科大学ごとの学費をみてみます。





年収300万円でワーキングプアなどと言われる訳。






ワーキングプアの歯医者さんとは、日本全国の歯医者さんのうちおよそ20%の歯医者さんで平均年収をが約300万円の人の事を指すそうです。

ところで「年収300万円」ってワーキングプアか?

ふと疑問に思い調べてみると、サラリーマンの平均年収はおよそ400万円ほど。

しかし、これは全サラリーマンの平均で、ワーキングプア歯科医は全ての歯科医師の中でも20%の稼げていない群で、それが年収300万円なのである。

サラリーマンで稼げていない群はもっと低い年収であると思われるが、普通に生活をし、子供を育てている家庭もたくさんあるだろう。

では、何故ワーキングプア歯科医などと言われるのであろう?

その答えには大きく分けて2つある。

1つは、「歯医者さんになるまでの過程でかかるお金」。
そしてもう1つは「歯科医院開業にかかるお金」である。

この2つは個人としてはとても大きなな金額で、それに見合った収入でないからその様に言われるのである。

では、歯医者さんになるまでどの位の金額がかかるのか?
次回は歯科医師になるまでの金額を考えます。





名医さん図鑑【歯科】

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