歯科医師と患者の気持ちのギャップは『メンタルケア』で。







前回の話において「歯科医師は『人間力」』をつけなければならない」と記述した。

医療の世界においてはそれは患者の心のいたわり、いわゆるホスピタリティの中の『メンタルケア』である。


歯科は医科と大きく違うのは、やはり人間の命に関わる様な処置が少ないという事。

そのため、患者からの評価と言うのはどうしても治療の内容の良し悪しだけではなくなる。

その点においてはある意味医科よりも歯科の方がシビアだ。

例えば、虫歯の治療で小さく歯を削って「コンポジットレジン」と呼ばれる白いプラスチックの詰め物を、丁寧に時間をかけて、パッと見た感じ天然の歯の様に詰めて、患者に鏡で見せても患者の反応は”いまいち”。

こんな事は日常の歯科医師の中でのあるあるらしいが、ここに問題がある!

何故多くの歯科医師が”患者の反応がいまいち”と思うのか?

それは、歯科医師だけが「こんなに一生懸命に素晴らしい事をやってるんだ!」と言う気持ちが強すぎるために、患者の"ごく普通"の反応を見て、ガックリと勝手に来ているだけでなのである。

患者からすれば、口の中の暗い所に銀歯じゃなく白ければあとは大して差はない訳で、咬み合わせが高かったりした方が違和感を感じるだろう。

そう、患者はそもそも白い歯に白いものが詰まっても「不思議」とは思わず、また、咬み合わせが高くなくて当たり前なのである。

むしろ長い時間口を開けてつらい思いをした事に対して、見合っている事なのかどうか?という、総合的な判断でその反応になる事を歯科医師は理解しなければならない。

それもわからず、「僕がこんなに一生懸命詰めたから、きっと患者さんは喜んでくれるだろう。」なんて、心のどこかにそんな気持ちが常にあるから、その反応に対してギャップが生じてしまう。

さも自慢気に鏡を渡して、患者は「はぁ」。

これでは、勝手に歯科医師が「やりたい治療」を押し付けているだけで、患者の求めている事、すなわち医療の本質には繋がっていない。

その様な治療を行っていれば患者からの評価など高まる訳がない。

歯科治療と言うのは時代によって変化するものであり、最高とされる治療も今現在はそう言われているかもしれないが、『10年後には意味のない事だった』なんてことは歯科医療の歴史を振り返ってみても多々あるそうだ。

どこかの高名な先生の言った事を鵜呑みにせず、自分自身で考え患者個々にあった治療を考え提案し、選択してもらう方がよほど良いのではないだろうか。

根の治療もそうだが、「マイクロスコープ」なるもので口の中を覗かれながら、「ラバーダム」と呼ばれるゴムを引っ掛けて長時間口を開けさせられ、何をやっているかは不明。

それでいてそれをやったから、やらないよりも確実に長持ちするかどうかは言い切れない。

こんな事では、患者は不安で来て嫌な思いをしてお金払って帰るだけ…。

いつまでも続く訳がない!

治療の内容云々ではなく、もし本当にその処置が必要でやった方が良いと思うなら、患者に対しては誠心誠意の説明をして、患者自身にその治療に対して「欲しい」と言う購買欲にも似た、『治療欲』を出させるくらい歯科医師が『メンタルケア』をしなければならないのではないだろうか?





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